健康

美肌と漢方


●インナービューティーを漢方で磨く〇

美肌になるための条件はひとりひとり違う

キメが細かく、適度に潤いとハリがあり、くすみのない透明感のある明るい肌。そんな肌がいわゆる一般的な”美肌”の条件です。美肌は女性の永遠の憧れです。より理想のキレイな肌に近づける為、様々な化粧品を試し、ときに高価な化粧品使われている方も多くいらっしゃると思います。

しかしながら、ここで少しご自身の体験を振り返っていただきたいのですが、より高い化粧品を使うほど、また化粧品の種類をたくさん使えば使うほど、肌はキレイになっておりましたでしょうか。必ずしも”そうでない”方が多くいらっしゃるのではないかと思います。

なぜ”そうでない”のでしょうか。それは、”美肌の条件に足りない肌の要因”がひとりひとり違うからです。細かく言うと、”美肌になりきれない要因と、その状態を作り出している原因がひとりひとり違うから”です。

肌のキメは肌のターンオーバー(新陳代謝)が関係していますし、潤いとハリについては肌に含まれる水分量が重要です。くすみない透明感のある肌は肌への血流が影響します。要因を言葉で書くと平坦に見えますが、それぞれの要因は「良い」「悪い」で単純に表すことはできず、ひとによって「良い」程度や「悪い」程度は異なり、それらが複雑に絡み合って現在の肌の状態を作り上げています。これらの要因は、身体の内側・全体の問題であることも多く、化粧品による外側からのアプローチのみで改善するのは残念ながら難しいです。


内側からキレイになるインナービューティー

そこで生まれたのがインナービューティーという概念です。身体の中の調子を整えキレイになることを目指すインナービューティーは肌をキレイにするだけでなく、様々な身体の悩みや不調も改善することができる素晴らしい考え方だと思います。

そしてその考え方は、漢方の「同病異治」という考え方に通じるものがあります。「病」とは病気だけでなく不調全般を指しますから、「肌の状態」として考えますとひとりひとり違う「治療方法(改善方法)」があるということになります。

それでは、漢方の視点から美肌を維持するためにはどのようにすればいいのでしょうか。


【漢方的視点】肌に影響を与える外因と内因

肌に影響を与える環境的要因【外邪】

漢方では、肌の状態を損なう要因を”外邪”身体の内側の要因を”内因”として分けて考えます。外因については、主に以下の要因があります。

〇熱邪:外気温が高い、直射日光に当たるなどして肌に熱が当たっている状態

必要以上の汗を体外に出し、肌の潤いを消耗させる。乾燥の原因ともなる。熱が肌にこもると赤みを呈する。よりひどくなると赤みの強い発疹が発生し、強い痒みを伴い、出血することもある。

〇燥邪:環境の湿度が低い(エアコンによるもの、秋~冬など乾燥の季節)状態

肌を乾燥させる。日本では秋の終わりから冬にかけてよくみられる。肌の渇きや口渇を引き起こす。

〇湿邪:環境の湿度が高い(梅雨~夏の季節)状態

湿邪が肌に停滞すると湿疹を引き起こす。湿疹は少し盛り上がり、掻きこわすとジュクジュクする。また肌をジメジメさせる。

〇風邪(ふうじゃ):風が強い(春、台風の季節、秋など気圧の変動が大きい季節)状態

発疹、肌の痒みを引き起こす。発疹あるいは痒む場所が急に発生し、一定しない。よく移動し症状の強さは増減する。

〇寒邪:環境の温度が低い(エアコンによるもの、秋~冬など寒い季節)状態

汗を出にくくさせ、肌がこわばりひきつりを起こす。

これらの要因は、複数存在しているケースも多いです(特に熱邪と燥邪、湿邪と寒邪は共存しやすく、風邪はほかのすべての邪と共存しやすい)。


肌に影響を与える身体的要因【内因】

環境による影響要因が”外邪”であれば、身体の内側の要因が”内因”です。内因は物質的要素である”気・血・水”、身体機能的要因として”脾”と”肺”が特に肌に影響します。

”気”が肌を守り、”血”と水”が肌をみずみずしく美しくする

●気・・・肌を外邪から守り、”血”や”水”が外に漏れださないように防ぐ。不足すると敏感肌、接触皮膚炎など外からの刺激に負けやすい肌になる。

●血・・・肌に栄養と潤いを与える。血が充足していると肌は明るい透明感のある肌となり、爪は強くなる。不足したり流れが滞ったりすると肌がくすみ、色が黒くなり、乾燥してしわができやすくなり、ターンオーバーが悪くなる。

●水・・・肌を潤す。また、一部の水は転化し血となり肌を栄養する。不足すると乾燥してしわができやすくなり、バリア機能が落ちる。


”脾”と”肺”が肌の状態をコントロールする

●「脾」が飲食物から”気血”を作り”水”を吸収し、末梢まで巡らせる

●「肺」は全身に気と潤いを巡らせる

身体の機能を五つに分けた「五臓」の中で、皮膚を司るのは「肺」です。”気”を身体の表面含め全身に巡らし、外から肌を損なう要因である”外邪”から守る役割があります。充実していると外邪からダメージを受けない、いわゆる”強い肌”状態になります。また、「脾」は肌に必要なエネルギー、栄養、潤いを飲食物から作る工場の役割をしているので、とても重要です。また末梢への循環も司っているので、手足など末端の肌の状態にとても深くかかわっています。


いかがでしたでしょうか。長年の相談経験から言うと、不調の改善目的に漢方薬を飲まれている方の多くが、不調の改善と共に肌の状態の向上も体感しております。まさに全身は繋がっており、体質改善がインナービューティーとして肌にも良い影響を与えているということの表れですね。

BASE KAMPO PHARMACYでは、肌トラブルの相談も受け付けております。アトピー性皮膚炎はもちろん、にきびや乾燥肌などどんなお悩みでも大丈夫ですので、是非お気軽にご相談ください。

BASE KAMPO PHARMACY

代表・薬剤師 高田 耕治

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