漢方

不眠と漢方


●現代人の大切な眠りが損なわれている〇

自身の眠りに満足していない女性は多い

皆さん、最近の眠りはいかがですか。満足に眠れておりますでしょうか。横になったらすぐ眠れて、朝をスッキリ爽快な気分で迎えられる。理想ですよね。しかしながら、カウンセリングしていると眠りについてお悩みをお持ちの方が多くいると感じます。ある調査*によると、20~30代女性の44%が眠りが浅いと感じており、約9割が仕事中に眠気を感じたことがあると回答しております。なぜ私たちは満足する眠りが出来ていないのでしょうか。進化医学と漢方の2つの視点から不眠の要因と体質について、紐解いていきたいと思います。

*【ミュゼマーケティング調べ】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000223.000008905.html


【進化医学】狩猟採取生活から

仕事中心生活への変化が不眠の原因を作る

ヒトの祖先がであるホモ・サピエンスが地球上に生まれた当初(約30万年前)は、狩猟採取生活を営んでいました。食べられる植物や果物、狩りの獲物を求めて常に移動し、陽が昇ると起き、陽が沈む前に木の上や高台など安全な寝床を見つけ、そこで眠るという生活をしていました。我々の身体・機能・構造は、その頃の形からほとんど変わっていません。狩猟採取生活を送るために適応した身体・機能・構造のまま現代まで続いています。

昔は「食物を得る」為の狩猟採取生活が「運動」と「休養」「睡眠」に直結していた

我々の先祖は、食物を得るために十分に歩き回る必要があり、また狩りは走る・武器を投げる・狩った獲物を運ぶなどの行為はまさしく全身運動でした。日中に効率良い狩猟採取行為を行うため、陽が落ち視界が利かない夜間は十分に身体を休める必要がありました。日中は身体を活性化する交感神経が活発になり、夜間は身体を休める副交感神経が活発になりますが、その切り替わりも日中と夜間でメリハリがありバランスがとれていました。

「狩り」が「仕事」に変わり、交感神経が昼夜問わず優位に

昔と違い、現代社会で食物を得るためにはお金を稼ぐことが必要になりました。サバンナを歩き回る必要はなくなりましたが、かわりに1日中同じ場所で座りながら仕事をすることになりました。狩猟採取は単独もしくは少人数のグループで行われていましたが、現代の仕事は狩猟採取生活よりも多くの人と関わりコミュニケーションを取らなければならない為、結果として対人関係のストレスも多く抱えることになりました。また、文明の発達により陽が落ちてからも活動できるようになり、相対的に休眠するための時間が短くなりました。夜間も活動することになるので、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ交感神経優位の日々を過ごすことになりました。


【漢方】心血の不足が不眠を引き起こす

また、不眠が心血の不足を悪化させる

漢方では、精神と意識の中枢機能である「心」が眠りに深く関係しています。「心」を栄養する「血」が不足すると、眠りが浅くなる、寝つきが悪くなるなど眠りの質が低下します。また、不安感が強くなる、動悸がするなどの症状を体感する場合もあります。

太陽が出ている時間は漢方では”陽(気)”の時間、太陽が沈んでいる時の時間は”陰(血・水)”の時間です。”陰”の時間にしっかり睡眠を摂ることで、身体は”陰”を養います。

不眠で十分な睡眠が摂れないと、”陰”を養うことができない為、より「心血」が不足します。そうなると、より不眠の傾向が強い体質になります。「心血」の不足が続くと、次に「腎精」が消耗しはじめます。「腎精」は生命エネルギーそのものなので、減ると老化促進、免疫力が低下するなど体調が全体的に損なわれていきます。


不眠は早めに漢方で対策!食養生もお勧め

不眠は慢性化しやすいお悩みの一つです。不眠が続くと、免疫力・思考力の低下、感情の不安定化、疲労倦怠など身体の不調に繋がっていきます。早めに対応することが肝心です。

西洋医学では「眠らせる」治療、漢方は「自然と眠れるようにする」治療

西洋医学では、基本的に神経の興奮を抑える薬や体内時計を調整する薬で対応します。そのため漢方薬と比較すると即効性がありますが、その薬の効果が翌朝以降まで体内に残っていた場合に日中の眠気や集中力低下といった副作用が起こることがあります。昔の薬と比較すると身体的依存はしにくいものが開発されていますが、飲むと眠れる、飲まないと眠れないという思考になりやすいので、精神的に依存することが多いのもそういった薬の特徴です。

一方、漢方薬は身体のリズム・バランスを整えるという考え方から処方が構成されているため、即効性という観点からみると西洋薬より時間がかかる場合がありますが日中の眠気のような副作用はほぼみられません。「血」が不足している根本原因をカウンセリング等によりあぶり出し、それに合わせて漢方薬を選定します。体質がある程度整うと症状もなくなっていくので、漢方薬をやめられるケースがほとんどです。


不眠の食養生は「補血」「安神」「健脾」 

色が黒い食材、色が赤い食材、根菜類がおすすめ

色が黒い食材(黒豆、黒米、黒ゴマなど)赤い食材(なつめ、クコの実、人参、トマトなど)「補血」の食材と言われており、不眠の方は積極的に取り入れると良いでしょう。特になつめは「安神」という精神を落ち着かせる働きもあると言われており、鉄分も豊富に含まれているためおすすめです。

また、胃腸がもともと弱い方は、食べものから「血」を作る働きが弱いと考えます。「血」を作る工場である「脾(食物の消化吸収機能)」を整える食材として、根菜類(山芋、里芋、レンコンなど)を摂ることもおすすめです。

不眠が続く前に漢方で早めに対処しましょう!

食養生と同時に漢方薬を併用すると、改善までのスピードもぐっと早くなります。漢方薬の選定には体質の診断が重要なため、漢方専門薬局やクリニックで漢方の観点からしっかり体質を診断してもらえるところを選ぶのも、改善への近道になります。

BASE KAMPO PHARMACYでは不眠の漢方相談も行っています。気になった方は是非一度カウンセリングを受けてみてください。

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